線維筋痛症という名前を聞いたことがありますか?
身体の広い範囲に痛みが続くことを特徴とする病気ですが、 実際には痛みだけではなく、疲労感や睡眠の問題など、 さまざまな症状を伴うことがあります。
今回は線維筋痛症について、 まず知っておきたい基本的なことに絞ってご紹介します。
線維筋痛症とは?
線維筋痛症は、 身体の広い範囲に慢性的な痛みが続くことを特徴とする病気です。
ただし、「筋肉そのものが傷ついているから痛い」といった 単純な仕組みだけで説明できるものではありません。
現在も研究が続けられており、 痛みを感じたり調整したりする仕組みを含め、 複数の要素が関係する複雑な病態だと考えられています。
線維筋痛症は「痛い場所だけ」を見れば理解できる病気ではありません。
症状は「痛み」だけではありません
線維筋痛症というと、全身の痛みが注目されます。
しかし、実際には人によってさまざまな症状がみられます。
広い範囲の痛み
身体の一部分だけではなく、複数の場所や広い範囲に痛みを感じることがあります。
強い疲労感
十分に休んだつもりでも疲れが抜けない、身体が重いと感じることがあります。
睡眠の問題
寝つきや睡眠の質などに問題を感じ、朝起きても十分に休めた感じがしないことがあります。
集中しにくさなど
集中しづらい、考えがまとまりにくいなど、認知面の症状がみられることもあります。
症状の種類や程度は一人ひとり異なります。
また、同じ人でも日によって症状の強さが変わることがあります。
「検査で異常がない=痛くない」ではありません
線維筋痛症では、一般的な画像検査や血液検査だけで 痛みの原因を明確に示せないことがあります。
だからといって、 「身体に異常が見つからないから、その痛みは存在しない」わけではありません。
痛みは本人が実際に経験しているものです。
痛みというのは、 ケガや炎症の大きさだけで決まるものではありません。
私たちの神経系には身体から入ってくる情報を受け取り、 痛みとして認識・調整する仕組みがあります。
線維筋痛症では、このような痛みを処理する仕組みの変化も 研究されています。
原因は一つではありません
「線維筋痛症は何が原因なの?」
これは当然気になるところだと思います。
しかし現時点では、 「これが原因です」と一つに決められる病気ではありません。
痛みを処理する神経系の変化をはじめ、 睡眠、心理・社会的な要素、身体の状態など、 さまざまな要素との関連が研究されています。
だからこそ、 「筋肉が硬いから」「姿勢が悪いから」「ストレスだから」と、 一つの理由だけですべてを説明しようとしないことが大切です。
どうやって診断するの?
線維筋痛症には、 一つの血液検査や画像検査だけで 「これが陽性なら線維筋痛症」と判断できるような 特異的な検査が確立されているわけではありません。
そのため医療機関では、症状の広がりや経過、 疲労や睡眠などの症状を確認するとともに、 必要に応じて他の病気の可能性についても評価しながら診断が行われます。
線維筋痛症の診断は医師が行います。
全身の痛みが続いているからといって、 自分だけで「線維筋痛症かもしれない」と判断せず、 まず医療機関へ相談することが大切です。
治療も一つの方法だけではありません
線維筋痛症は症状の現れ方に個人差が大きいため、 治療についても「これだけをすればいい」というものではありません。
自分の身体で何が起きているのかを知ることも大切な取り組みの一つです。
症状や状態に応じて、医師の判断のもと薬物療法が行われることがあります。
一人ひとりの状態に合わせた運動なども治療の選択肢として用いられます。
睡眠や日々の活動などを含め、生活全体を見ながら考えていくことも重要です。
複数の方法を組み合わせながら、 その人に合わせて考えていくことが重要になります。
「痛みを我慢する」ことがゴールではありません
慢性的な痛みが続いていると、 生活そのものが痛みを中心に回り始めることがあります。
「痛くならないように動かない」
「また痛くなるのが怖い」
「今日はこれができなかった」
痛みは身体だけでなく、 仕事や家事、外出、人との関わりなど、 日常生活のさまざまな部分に影響する可能性があります。
だからこそ線維筋痛症を考える時には、 痛みの強さだけでなく、 「その人がどんな生活を送れているか」という視点も大切です。
今回は、まず「知る」ところまで
一度の記事ですべてを説明することはできません。
私自身、これまで痛みについて学び、 線維筋痛症に関する学会で医師を対象に講演する機会もいただいてきました。
その中で感じているのは、 線維筋痛症を単純に「筋肉の問題」「心理面の問題」など、 一つの側面だけから理解しようとしないことの大切さです。
まず今回は、 「線維筋痛症とはどんな病気なのか」 という入口までにしました。
- なぜ痛みが続くのか
- 痛みと脳・神経の関係
- 線維筋痛症と運動
- 痛みと睡眠の関係
- 慢性疼痛と感覚
感覚整体のうは医療機関ではなく、 線維筋痛症の診断や治療を行う場所ではありません。 身体の動かしにくさや日常生活で気になっていることなど、 身体についてのご相談をお聞きしています。
- Jurado-Priego LN, et al. Fibromyalgia: A Review of the Pathophysiological Mechanisms and Multidisciplinary Treatment Strategies. Biomedicines. 2024.
- Fibromyalgia: Understanding, Diagnosis and Modern Approaches to Treatment. Open-access review.
- Disentangling Diagnosis and Management of Fibromyalgia. Open-access review.
